

ゆるめるポストを読む
ゆるめるポストはゆらりすとの疑問にお応えすることを目的としています。いざゆめ水族園を実践しようとすると、「何を準備したらいいの?」「どんなふうに実践したらいいの?」「どうしてそうするの?」「他の人はどんなふうにやってるの?」、などの疑問がわいてくるかもしれません。感覚刺激の考え方、実践の仕方に関してノウハウやエピソード、いろいろなゆらりすとの実践の様子をお届けします。
ゆめ水族園をもっと深く知りたい方、実践で何かに迷った方など、ぜひ活用してください。
ゆるめるポストでは、以下の一例のような記事を多数ご覧いただけます。
感覚刺激ならではの映像空間の特徴はいくつかありますが、今回はその中でも動画コンテンツの特徴について解説をします。
動画は、ゆめ水族園でまさに「見る」という視覚刺激を作り出しますが、次のことに配慮して独自に感覚刺激専用に作っています。
1.自然の持つ揺らぎなどの自然特有の美しさを持つ映像
変化の少ない環境にいる方々に、自然の揺らぎを作りそれを視覚を通じで感じてほしいと考えています。これは、すべての映像の基本になっています。具体的には下の図にあるようにクラゲや植物やプランクトンの動き、水流など自然界のゆっくりした流れや揺らぎのある要素を取り入れています。下にある青い映像は、見ることのできない水の流れそのものを視覚化した映像です。そこには自然が作り出す美しさがありますね。


2.色と動きに重点を置いた物語性がない映像
これは、映画のように物語を理解しなくても、「直感的にわかる」ということです。ゆめ水族園は理解するものではなく、感じる世界です。そして体験する方の表現を生み出すのです。言葉のような概念的な世界ではなく対象の色と動きから体験者の表現の創造性を膨らませてもらおうとします。そして環境に変化を生み出す映像です。映画は本になりますが、ゆめ水族園は本に置き換わりません。その空間の質感、刺激そのものが本質だからです。
3.見やすさに配慮したゆるやかな映像
速い動きは見ることが難しいです。ペンギンが代表です。プロジェクションのように映像を拡大していると、なおさら速い動きは見にくいのです。そこで全体の映像をクラゲくらいのゆっくりしたスピードに調整しています。

4.集中力などに配慮した長さの映像
長い映像(カット)は集中力が続きません。誰でも飽きますよね。そこで体験する空間に合わせて長さを決めています。状況により一概に何秒がいいとは言い切れませんが、例えば1シーン20秒くらいです。それが変化していきます。

5.その動画にマッチする音楽(自然音)と共に魅力を最大限に発揮する映像
音楽や音を同時に上映することで見えるものは違っていくと感じます。人は自然状態では視覚と聴覚、触覚で世界を把握していくので、どのような音がこの映像に合うのか、配慮する必要があります。ゆめ水族園の空間は映像だけでは完成しません。映像と調和していく音楽を探しましょう。波の音など自然界にある音も魅力的に使えます。
6.さまざまな視点の先に複数投影した、お互いに繋がりハーモニーを生み出す映像
包み込むように体感できる空間が理想です。目を向ければ映像がそこにある状態です。複数の映像を重ねることができる状況では、自然の揺らぎを基調として、重なり合うそれぞれの映像がハーモニーを生み出すようにできるとベストです。複数の映像がランダムに交差するなど人が意識的に作れない予期できない偶然性も取り入れていきましょう。

最後に、「見る」ということには心の状態と相まってさまざまなモードがあります。見る、観る、俯瞰する。探索する。集中する…
いろいろな状況を踏まえ、どのように「見る」を作るのかを考え、表現の表出を引き出す映像空間を作ることが大切ですね。