2025.03.06
事例編
ファンタスカー貸出しは、施設(病院や特別支援学校など)の方の、「機材とコンテンツがあれば、プロジェクションによる感覚刺激体験を自分たちで利用者さまにお届けしたい」という想いを応援するプログラムです。
第4弾は、「ファンタスカーを使った感覚刺激体験を授業に取り入れる」という新しい取り組みの様子をお伝えします!この取り組みからは私たちも多くの気づきを得ました。感覚刺激×授業の新たな可能性を探るきっかけとなるよう、この気づきを皆さんにご紹介します!
知的障がい部門、病弱教育部門併置の特別支援学校。別の地域にある、ろう学校内に設置された病弱教育部門、近隣の病院内に設置された院内教室と合わせて、全部で3つの学びの場で構成されている。全校児童・生徒は、161名。
ファンタスカー
会議室(幅:8.8m、奥行き:11.8m、高さ:2.7m)
「ファンタスカーを使用して、子どもたちが多様な感覚を使える授業に取り組みたい」という先生のアイデアから始まった今回の取り組み。授業として取り組むためには、指導計画に組み入れることが必要ということで、準備期間を経ての実施となりました。
今回授業を受けたのは、重度・重複障がいのある小学部の子どもたちです。ファンタスカー貸出し期間の2週間の中で、10回の授業を設定し、子どもたち一人ひとりが感覚刺激の体験をしました。先生曰く、「この子どもたちは、1回だけの体験だと何が起きているのかを理解すること自体が難しい」ということで、あえてファンタスカー貸出しを希望し、繰り返し子どもたちが体験できる環境づくりに取り組まれました。実際、授業として繰り返すことで、子どもたちが雰囲気に慣れ、活動を理解できるようになり、最初は怖がっていた子もだんだんと興味を持って自分から行きたいところに向かっていくような姿が見られたそうです。
ゆめ水族園のイベントは基本的に1日限り。ファンタスカー貸出しなどのプログラムは長期間となりますが、対象者が多ければ繰り返し体験することはなかなか難しくなります。1つの単元として授業を設定することで、その子その子のねらいに合わせてじっくりと繰り返し学習することが可能となり、子どもたちの成長につながるのだろうと感じました。
「⼦どもの障がいの程度は多種多様。もっている感覚のうち、どれを使って刺激を受け取り、どんな風に表現しようとしているのかを探る活動を考えたい。」授業として取り組むことにこのような目的を持っていた先生方。繰り返し実施することで、子どもたちの反応をじっくり観察することができ、実態に合わせて授業を作ることができたそうです。「1回目の授業での様子では考えもしないくらい変化を感じた。子どもたちが環境に慣れ、自発的に活動する姿が毎回楽しみであった。それらが次の工夫につながった。」という感想もいただきました。
私たちも授業の様子を見学させてもらいましたが、子どもたちのねらいや状況に合わせ、見せ方を変えたり、飽きが来ないように空間を工夫されたりしていました。先生方のアイデアがたくさん詰まった映像空間がそこに生まれていました。
普段の授業で使っているトンネルを利用!狭いトンネルの空間の中でゆっくりと映像を楽しんだり、触れてみたり…。人気の空間となったようです。
農業用の不織布を使ったスクリーン。不織布を使うことで、映像が柔らかな印象になり、とてもきれいでした。カーテンのように天井からつるすことで、中を通ったり、下に寝そべりながらゆらゆらするのを眺めたり、触れてみたりでき、さまざまな楽しみ方が生まれていました。
魚の形をした保冷剤を床に置き、そこに映像を投映。見るだけではなく触ることで多様な感覚を使えるように工夫。
ファンタスカー貸出しは、予め設計した空間を作り上げるゆめ水族園とは違い、施設の方が自由に空間を作ることができます。また、プロジェクターの場所や向きも自由に動かすことができるので、体験者の方に合わせ空間を変えることができます。今回先生方はこのメリットを最大限に生かした授業づくりをしてくださいました。
中でも一番私たちが先生のアイデアに感動したのが、授業最後の「お魚バルーン」です。
子どもたちにとって授業をわかりやすく示すために活動の流れを一定にしているそうですが、授業の終わりは子どもたちが好むバルーンを使った「お魚バルーン」で終わりを伝えていました。会場の中央に子どもたちが輪になって集まり、別の場所で使っていたプロジェクターを子どもたちの輪の中に置き、天井に向かって投映していました。バルーンを上下させることで魚の映像が子どもたちに近づいてくるので、手を伸ばして触ろうとする姿がありました。このほかにも、授業中何度もファンタスカーを移動させ、子どもたちに合わせた見せ方を工夫していました。
また、このお魚バルーンに使っているのは先ほど紹介した不織布のスクリーンです。あるものをどんどん利用して新たな映像空間を作り上げていく先生方の姿は、私たちにも学びの場を提供してくださいました。
授業として取り組むことの新たな可能性。皆さんなら、感覚刺激を取り入れてどんな授業をしてみたいですか?