2024.10.16

感覚刺激のツボ(実践編)

自分だけの映像空間「フロリック」

コラム「感覚刺激体験を生み出す映像空間の特徴」で紹介しましたが、ゆめ水族園は代表的な9つの映像空間を多様に組み合わせて形成しています。その中でひと味違った映像空間「フロリック(Frolic)」を紹介します。

フロリックとは、戯れるという意味です。それは、車いすなどの方の視線の下に形成する映像空間。箱庭のような自分だけの映像空間が間近に迫る。映像に触れる、映像と戯れる感覚を味わってほしい、との願いを込めた映像空間です。

ゆめ水族園を開催すると、フロリックの映像空間の周りにはいつでも特別な空気感があります。たとえば、この映像空間の楽しみ方の一つとして、小型のハンドスクリーンをお渡しすることがあります。ハンドスクリーンを映像にかざすと、ハンドスクリーンの上に金魚などの映像が映り込むため、体験される方はまるで自分で金魚を捕まえたような感覚になります。それが体験される方の能動的な表現を生み出すのです。体験される方が能動的に映像に働きかける。そこには周りの私たちが期待する以上の意外な体験が生まれるのかもしれません。

時には、ゴマフアザラシの赤ちゃんが縦横無尽に目の前を行きかったりします。これが自分の間近で起こるので、体験される方は自分がアザラシと同じ空間にいるような感覚を味わっているのではないかと想像したりします。

フロリックのスクリーンは平らに設置したり、体験される方側を下げて斜めに設置したり、スクリーンを外したりすることができます。車いすの高さに合わせてスクリーンを平らに設置すると、車いすと自分の体をスクリーンの下に滑り込ませることができるので、スクリーンに最接近することができます。また、斜めに設置するとバギーの方が映像を見やすくなります。スクリーンを外してしまえば、体験される方の足元の床に映像空間が広がります。いつでもそこは自分だけの映像空間です。

フロリックを作る際の注意点は、プロジェクターで下向きに映像を映すので、下向きに投映できるプロジェクターを用意する必要があることです。プロジェクターによっては下向き投映ができないものもありますので、必ずプロジェクターの取扱説明書で確認してください。

スクリーンは白色の布を用意するといいと思います。エプソンのゆめ水族園の場合は、伸縮性のある白い布をスクリーンとしその下に黒色の布を重ねることで、スクリーンに触れた時の柔らかな感覚を作るとともに、映像の見やすさを上げる工夫をしています。

さあ、皆さんも独自の工夫で、体験される方が自分だけの映像空間を感じられる世界を作ってみてください。体験される方が手元に映像を感じ、映像と戯れ、映像に触れられる素敵な映像空間を自分たちの手で。