2024.10.01
感覚刺激のツボ(考え方編)
視覚、聴覚、触覚の感覚刺激のうち視覚刺激を担うのが、映像のプロジェクションです。今回は、感覚刺激を行うためにどのような考えでプロジェクションをすればいいのかについて紹介します。
ここでのプロジェクションの目的は、体験される方が普段過ごしている空間に変化を作り出すことです。そして、その変化を感じて、体験される方が表現を生み出していくことです。映像の動きや色により、自然の揺らぎのある質感を部屋の壁面やスクリーンに作り出す。それは他に代替えできない質感そのものです。プレゼンテーションのような情報伝達でも、映画のような物語を伝えるプロジェクションでもないということです。ゆめ水族園におけるハードとしてのプロジェクターは、情報機器というより壁面やスクリーン面に質感を作り出す質感製造機器と言えます。
空間に変化を作り出し、そしてさらに自分と同じ、地続きの空間としてクラゲなどの投映対象を認識できること(上の図)がテレビやパソコンのモニターと違う点です。これもゆめ水族園のプロジェクションの重要な機能です。見る事によって自分とその対象が繋がる。クラゲと自分が同じ空間にいる。もしモニターで見たならば、体験される方がその映像(クラゲなど)と同じ空間にいるとは感じないでしょう。対象を見ることが、自分の存在を確かめることに繋がっていくのです。
投映された光、動きと色の図像を映像化するには、受け手のスクリーンが必須です。ここで、スクリーンについて少しお話しします。
ゆめ水族園のスクリーンは、映画館や会議室のようにフラットではなく、揺れたり、半透明だったり、歪んでいたりします。その一つひとつが、スクリーンのさまざまな質感や動きなどを左右する重要な要素だからです。また、例えばレイヤー状のスクリーンを使って、コンテンツとともにその空間を把握しやすい設計にすることが重要です。さらにスクリーンは、「触れる」という感覚を作り出します。「体験される方とスクリーンの空間をどのように接触、アプローチさせるか?」が、「どのような感覚を引き出すか?」という上で最も重要なポイントになります。
そしてプロジェクションとコンテンツとスクリーンは切り離せない関係にあります。体験される方を基本に考え、プロジェクションとコンテンツとスクリーンの視点から感覚刺激体験のベストな状態を探るのです。例えばプロジェクションの向きは、視線の方向に合わせます。体験される方がベッドで寝たきりで上しか見られないなら、天井に投映します。壁面が正面であるということにとらわれないで見やすい方向に投映しましょう。
自然の揺らぎを感じさせるコンテンツを使い、さまざまな質感を持つ空間になるように、既成概念にとらわれないプロジェクションをしていきましょう。
体験される方を揺らぎで包み込むように。