2024.06.17
感覚刺激のツボ(考え方編)
ゆめ水族園のシンボル的な映像空間として触覚型映像空間があります。別コラム「感覚刺激体験を生み出す映像空間の特徴」で示した「ワンダリング」がこれにあたります。触覚型映像空間は、ゆめ水族園の10年の歴史の中で「レイヤー」→「スパイラル」→「ウォータードロップ」→「ワンダリング」との命名とともに、バリエーションを広げ機能改善を重ねています。
ゆめ水族園では、視覚、聴覚、触覚を刺激しますが、中でもこの映像空間は、柔らかなスクリーンに触れられる触覚型であることが特徴です。体験される方の目の前を泳ぐ魚に誘われて思わず触れたくなる、そこに音楽が加わることで、見て聞いて触るという複合的な感覚刺激を実現しています。
今回は、触覚型映像空間の各バリエーションの狙いについて紹介します。バリエーションごとに、代表的な現場写真と平面図を示しましたので、合わせてご覧ください。
「レイヤー」とは、オーガンジーなどの生地で構成する柔らかく半透明のスクリーンを文字通り層状に連ねた構造で、映像空間を深さ方向に形成して奥行き感を作り出します。同時にスクリーンの間に設けた空間に入り込むことでスクリーンと触れることができる、触覚型映像空間の原型と言えます。また、オーガンジーは上側を固定するだけで吊り下げているため、部屋の空調の風によってこれが揺れ映像空間に揺らぎをもたらすのもこの空間の特徴です。
比較的簡単な構造で奥行きのある映像空間を表現できるので、感覚刺激体験の空間づくりが初めての方にもおすすめです。
「スパイラル」とは、らせん形を含めた連続した曲面で構成する映像空間です。このタイプから明確に入口と出口の概念が登場します。それによって体験される方の動きを誘います。そして、出口の先に別の映像空間を配置することでレイヤーに比べ映像空間に連続性が生まれます。車いすやバギーを使用される方、ベッドを使用される方など、どなたでもスムーズに体験できる映像空間を実現しています。
「ウォータードロップ」とは、水面に落ちた一滴の雫から波紋が広がる様子に似ていることから命名したもので、レイヤーを円形状にする発想から生まれました。この形態の特徴は、内側に円筒空間を作り一定時間そこに滞在できる場所を設けたことです。映像空間は外からも中からも見渡せます。外から見る世界は、半透明のスクリーンが幾重にも重なり凝縮された映像空間です。一方、ひとたび中に入ると映像のレイヤーの先に「ウォータードロップ」とは別の映像空間を見渡せるため、映像空間に没入した感覚、映像空間と体験される方とが一体に感じる世界が展開されます。さらに、この形態で初めて、オーガンジーで天井を作りそこにも映像を投映しました。これにより、上を向いているベッドの方でも映像空間に包まれる感覚を高めることができます。
これまでの進化の集大成が「ワンダリング」です。これは、レイヤー状のスクリーンの中で、普段の生活の中にはない世界感に迷い込み、入り込み、目の前にあるものを探索するように体験していただくというコンセプトで「ワンダリング」と名づけています。レイヤー状に取り付けたスクリーンの中を通り抜けたり、中心の個室でじっくりと留まってみたり、さまざま体験ができるように作り込みました。体験される方の近くに広がる映像の中で、気づいたり、触れたり、探索するように体験してほしいとの願いを込めています。
触覚型映像空間は、体験される方に、より深い感覚刺激体験をお届けできるよう今後も改善を続けます。進化したゆめ水族園の世界でぜひお会いしましょう!