2024.06.01
感覚刺激のツボ(考え方編)
見えないものが把握できる。今回は空間認識についての内容です。
ゆめ水族園では、包み込むように色鮮やかな魚や木々の揺らぎなどの映像と音楽で空間を満たします。
それを見て触って聞いて体験するわけですが、それは同時にある体験される方にとっては映像そのものよりは、その空間が強く印象づくことにつながるようです。
下の絵を見てください。これは、特別支援学校の生徒さんがゆめ水族園体験後に描いた絵です。会場の図面と比較しても明快に空間把握をしていることがわかります。渦巻きのスクリーンがあり部屋の数や渡り廊下までもが印象づいている感じが読み取れますね。この生徒さんは美しい魚より複雑な迷路のような空間そのものに興味を抱いたのでしょう。自由に会場の空間を探索した感じが読み取れます。また自分が移動した形跡とも読み取れます。「面白い空間だったよ」「こんな探検をしたよ」「これだけ動いたよ!」と、そんなメッセージが聞こえてきそうです。
ゆめ水族園では、触れて、見て、聞いて、自分の周りの空間やそれと自分との関係性がどうなっているのか?を大切にしています。それは自分の外部環境を認識すると同時に自分の動きを通じて、自分の確からしさまで把握していくことにつながっていくことでしょう。
空間そのものは見えません。何かモノや手がかり(視覚、触覚、聴覚)になるコト(音とか)がないと、空間そのものは把握しづらいものです。一例として、海の写真のように岩があると空間感(奥行きなど)がよりわかりやすいですね。
空間そのものは把握できないけれど、スクリーンに映し出された映像を手がかりに同時に空間が把握されていく。認知や行動の手がかりとなる概念の形成にも繋がります。外側の映像やスクリーンなどの対象を把握しながら自分が自発的に動いて、歩き回ることで自分と周囲の関係性がつかめていくのだと思います。本人にとっては、映像を楽しみながら、空間を把握し自分の在り方までも確かなものにしていくことでしょう。
特に見えない方、見えにくい方でも揺れるスクリーンを感じたり音を聞いたりすることで空間を把握することは十分できると考えています。音や映像を使いながらも、スクリーンによって、まさに触覚空間を作り上げることが重要です。下の写真は、柔らかなスクリーンに触れることで自分の周りを把握し自分との関係性を楽しんでいる様子です。
全身を動かし楽しく触れることで世界を把握していく。柔らかなスクリーンを使えば柔らかな空間を把握するのかもしれません。柔らかい空間、暖かい空間、揺れのある空間…。空間にもいろいろな性質がありそうです。硬さや温度、揺れなど配慮し触覚的な視点からスクリーンを選択することは空間の性質を決めていくことにつながりそうです。
体験した対象の把握をしながら同時に重要なことは、それによって空間を把握し経験として自分自身に折り返されていくことです。
空間を把握し自分との関係をつかむことは、心理的な安定や、状況の理解と変化への対応につながっていくものと考えています。
どういう導線を作ると空間が楽しくなって、空間把握ができるのか?体験される方の移動を描き想像してみることが大切そうです。