ゆめ水族園が届けてくれた一日
ゆめ水族園
柏木 節子さん
独立行政法人国立病院機構とくしま医療センター西病院
内科医長
或る日、街のショッピングモールにミニ水族館が来ました。小さな水槽にきらきらお魚が泳ぐ様子に、水族館を是非患者さんに届けたいと思いました。そんな折、「ゆめ水族園」という活動を知り、令和6年度にはファンタスカーでの開園が実現しました。
寒冷紗の用意、コースの設定、いろいろお教え下さって、職員手作り感満載の水族園。それでも入院患者さんは空間に泳ぐお魚たちに微笑んでくれました。その笑顔に応えるべく「本物のゆめ水族園」実現に職員の気持ちは傾き、令和7年度に「ゆめ水族園」が開園しました。
沢山のセイコーエプソンの社員の方々が感染対策も万全で、何日もかけて準備を進めて下さるその様子に、患者さんも職員も期待で胸が膨らみます。そしてその日が来ました。
壁に床に天井にと舞い踊るように漂うお魚、ゆったりと水に遊ぶ白くまのホクトくん、形を変え光集める波。患者さん達は水中に溶け込んでいくように車椅子を進めて行き、水の中でも呼吸ができているような錯覚を覚えました。ただ、じっとそこで眺めるというとても贅沢な時間でした。
一日はあっと言う間に終わり、ゆめ水族園が撤収した場所は、いつもの病院の一室に戻りました。あの魚たちはどこへ行ったのか、思わず目が追い続けます。けれど患者さんの記憶には華やかな「ゆめ」のひと時として遺り、ゆめ水族園でのできごとを話すたびにこぼれる笑顔とともに、再びの出会いを待っています。
独立行政法人 国立病院機構 とくしま医療センター西病院
筋ジストロフィー、神経・筋疾患の専門病院。療養介護病棟では、ほぼ全ての患者さんが人工呼吸器を使用し、一日の殆どの時間をベッド上で過ごされている。
2025年 ゆめ水族園開催 体験者数 273人